「高大接続サポーター」って聞いたことがありますか。「高大接続サポーター」とは、本学が展開している高大連携事業で、大学での学びや阪大の魅力を多くの高校生に知ってもらうために、さまざまな形で協力をしてくれている学生たちのことです。2023年3月現在、全学部/研究科から約250名が「高大接続サポーター」に登録し、活動をしています。今回は2名のサポーターの方にこれまでの経験について話してもらいました。
Q1: 最初に、簡単な自己紹介をお願いします。
髙山さん:薬学部5年生の髙山です。富山県出身です。旅行やカフェ巡りが趣味で、大学生のうちに47都道府県を制覇するのが目標です!よろしくお願いします。
キムさん:音楽学を専攻する人文学研究科博士後期課程のキム・ボムジュンです。留学生ですが、学部生の時から阪大に在学していて、高大接続サポーターのイベントには3,4年程前から参加しています。
Q2:「高大接続サポーター」になろうと思ったきっかけは何ですか?
髙山さん:図書館でサポーター募集の貼り紙を見かけ、「高大接続サポーター」の存在を知りました。私は高校生の時に1年間課題研究に取り組みました。また、海外研修に参加して、海外の学生に課題研究の成果を発表しました。当時は大学の先生にもお世話になり、同じテーマに取り組んだチームのメンバーや先生に恵まれたこともあって、とても充実していて楽しかった経験として記憶に残っています。また、教科書に載っていない、自身が考えたことを明らかにする、そんな研究の楽しさに気づくことができました。この経験が進路選択のきっかけにもなりました。大学生になり、次は私が、新たなことにチャレンジする高校生をサポートする側にたちたい、自身の経験を活かしたい、そう思ったのがきっかけです。自分と同じような経験をしてもらえたらいいな、という思いもありました。その後は、その図書館の貼り紙から登録し、課題研究のサポートだけでなく、高校生との座談会に参加して薬学部のことを紹介するなど、様々な活動に参加しています。
キムさん:大阪大学の他の事業で日本の高校生と触れる機会があって、彼らと交流する中で、日本人の大学生たちとの交流とは違う経験をすることができました。日本で初等・中等教育を経験していない私からすると、若い高校生たちと直接的に話せて意見交換ができるところがとても新鮮でした。その行事が終わった後、似たような事業を担当する部局が大阪大学にあることを担当者の人から教えていただいて、高大接続サポーターに登録しました。
Q3: どのような活動に参加しましたか?また、参加して良かった点や活動にあたって工夫した点などがありましたら教えてください。
髙山さん:高校に出向いて、課題研究や探究活動のサポーターをしています。いくつかのチームを担当し、研究の方向性についてアドバイスしたり、問題に直面しているときには解決法を一緒に模索したりします。また、発表スライドや報告レポートの指導も行っています。意識していることは、大学で研究する中で学んだことを高校生にも分かるように伝えることです。かみ砕いて説明することで私自身の学びにもつながります。また、できる限り高校生が自分で興味をもったことや考えた案は、否定せず、実現できるように活かしてあげることを大切にしています。「楽しい」という感情を引き出すことが一番の目標ですね。また、高校生に薬学部の紹介をする仕事もしています。プレゼンや座談会など、方法は様々です。大学での生活や1人暮らし、バイトのことなどを盛り込んで、少しでもイメージしてもらいやすい内容になるように工夫しています。座談会形式であれば、高校生からの疑問を引き出せるように努力しています。大学受験勉強についてのアドバイスを求められることも多いですね。
キムさん:今までサポーターとして高校のポスター発表の審査員、高校生の論文・レポート作成の指導、そして高校生国際シンポジウムのファシリテーターなどの活動に参加してきました。
キムさん:ポスター発表は、私自身が高校生の時に参加した経験がない活動で、最初は発表の情報量やテーマの幅広さに驚きました。また「SDGs」の概念や理念に基づいた発表が多く、日本の教育制度がより良い未来のために重点を置いている部分も、とても印象深かったです。主に自分が関連知識を持っているテーマの発表を中心に審査を行いましたが、たまには自分の専門分野と関係性が低い理系関係の発表も聞いたりして、私個人にとっても学ぶことが多い、とても楽しい活動でした。ポスター発表の審査員で参加する際に最も重点を置いているところは、発表自体が「コミュニケーションとして機能しているか」です。人前の発表、しかも学外の人に向けて発表を行うことで緊張してしまい、コミュニケーションではなく一方的に情報を羅列する発表になる場合が多かったです。そこで「指摘」というより、知的な好奇心に基づいた「刺激的な質問」をすることで発表全体の目的、つまりコミュニケーションの側面を生徒たちに意識させるところに気をつけています。
キムさん:ポスター発表以外にも、高校生の論文・レポートの指導の活動にも数回参加しています。大阪のある高校で2年間参加しているプログラムですが、こちらはおよそ5組の論文・レポートを事前に読み、学校に訪問して作成者の学生たちと直接話しながら改善点やアドバイスなどを伝える活動です。こちらの活動は添削を行ってから数か月後に、改善されてアップデートされたレポートの添削を再度行うことで、自分のアドバイスが役に立ったかどうか、的確だったかどうかが確認できて、とても有意義な活動です。ポスター発表とは違って時間の制限がない分、論文・レポートの方は内容的により深掘りができて複雑な概念を伝えることもできると思います。ただし、簡潔に情報を提示しなくても構わない分、内容の構成や流れが不明確であったり、読者に不親切な文章になったりする場合も多くありました。私自身は日本語母語話者ではないですが、母語話者でないからこそ「効果的な日本語の文体」とは何かを、大学での長年の修学で身につけてきたと思います。そういった部分、つまり読者に「理解させるための書き方」に重点を置いて論文・レポートの指導を行ってきました。
キムさん:最近では、2023年3月にあった高校生の国際シンポジウムのファシリテーターの活動にも参加しました。SDGsの概念に基づいて、事前に論文の講読やレポートの発表などを行った高校生たちがZoomを使って話し合う行事で、私はそこで全体の司会や質問などを行うファシリテーターとして参加しました。英語を使ったシンポジウムで、日本の学校から参加した生徒たちの英語力は様々でしたが、誰もが自分の言いたいことをはっきり持っていて、またそれを相手に丁寧に理解させようとする姿が、とても印象深かったです。母語ではない言語で学術活動を行っている私にとっても、知識と意見だけではなく「気持ち」や「心」を伝えるために言語がどれほど重要であるかを、高校生たちの熱心な姿から再び感じることができた素晴らしい機会でした。
Q4: 最後に、読者の皆さんに「高大接続サポーター」のおすすめの一言をお願いします。
髙山さん:最初は自身の経験を活かしたいという思いで始めましたが、活動してみると、まだ駆け出しの高校生ならではの斬新な視点に驚くことが多々あります。そして、本格的に研究をしたことのない生徒にどのように課題研究のアドバイスや学部の様子を伝えれば伝わるか、試行錯誤の連続で、私たちも一緒に成長できます。また、若い世代とコミュニケーションが取れる機会でもあるのでそういう面でもとっても楽しいです。みなさんも一緒に活動しましょう!
キムさん:これを読む方の殆どは日本で初等・中等教育を受けた大学生の方であると思いますが、もし日本で初等・中等教育を受けていない方でこれをお読みになる方がいらっしゃれば、強くサポーター活動をお勧めしたいです。大学で経験する日本とは違う姿の日本を経験できると思いますし、そこから学べることは日本でのより豊かな研究活動や生活にも繋がると思います。
髙山さん、キムさん、ありがとうございました。
高大接続サポーターにご興味のある方はぜひこちらをご覧ください!
高校教育に興味がある方やSSH・SGH/WWL経験者、教員志望の方、留学生の方などどなたでも歓迎します(学部、研究科、学年不問)。
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