アイセック大阪大学委員会は2023年度、15名もの阪大生を海外インターンシップに送り出し、ベトナムからのインターンシップ生を1名迎え入れた。今年度はメキシコ、インド、スリランカ、マレーシア、ベトナム、タイ、カンボジア、ウガンダと世界各国へ渡航し、異文化に触れながら、チャレンジングな環境で社会課題に取り組む実践的な姿勢を見せてくれた。
アイセックは、世界100以上の国と地域に支部を持ち、約30,000人の若者が所属する非営利組織である。若者の異文化理解を促進することで、「平和で人々の可能性が最大限発揮された社会」の実現を目指している。アイセックの日本支部であるアイセック・ジャパンは1962年に創設され、主に大学ごとに24の委員会が活動をしている。その中で彼らは日本の大学生を海外のNGOや教育機関などへ送り出すプログラムを運営しており、阪大生も多数渡航している。
また、インターンシップを日本から送り出すだけではなく、海外の学生を日本の企業様などに受け入れていただくプログラムも運営しています。
今回は、アイセックが展開している事業の一つである“海外インターンシップ”について、昨年の夏にスリランカでの海外インターンシップに参加した鈴木康平さん(文学部2年)と、送り出し事業統括として、インターンシップをサポートする坂東美季(外国語学部3年)さんにインタビューを行った。
インターン経験者インタビュー 文学部2年 鈴木康平さん
Q.どうして海外インターンシップに参加しようと思ったのですか?
A.中学生の頃からSDGsなど環境問題に興味はあったものの、行動を起こしたことのない自分に違和感がありました。大学ではそういった活動に時間を割こうと思い、1年生の夏という早い時期に渡航して、刺激を受けようと思いました。留学や旅行とは違って、海外インターンシップでは、渡航先の生の課題に触れられると考えています。
Q.インターンシップ期間中どんなことをしたのか教えてください。
A.インターンシップでは主に、スリランカの子どもたちや自分と同世代の若者を対象にして、海洋汚染と水難事故に対するアンケート調査を行いました。アンケート用紙は、調査の対象者に直接お配りしたため、調査だけではなく、彼らと交流する機会も多くもつことができました。6週間で、120名を超える方々から回答をいただくことができました。そして、研修の最後に、調査結果をもとにどんな対策が求められるのかを提言するレポートを作成しました。また、お世話になった現地のNPOがアメリカ大使館と共催しているイベントにも参加しました。地元の若者と体を動かすアクティビティをしたのは大変楽しかった一方、ビーチのゴミ拾いや溺れて意識を失った人に施す心肺蘇生のレクチャーなどは勉強になり、自身の問題意識を刺激される内容もありました。
Q.印象に残っていることを教えてください。
A.渡航先と日本のつながりを随所で目にしたことです。日本のODA(政府開発援助)による施設や日本の製品も多く、世界が繋がっていることを実感しました。また、実際に交流する中で、現地の人々との価値観の違いだけでなく、物事への考え方、視点、問題意識など自分と共有するものが想像以上に多いことに気づきました。
運営者インタビュー 外国語学部スウェーデン語専攻3年 坂東美季さん
Q.海外インターンシップに参加する立場ではなく、サポートする立場を選んだ理由を教えてください。
A.もちろんインターンシップに参加することにも興味はあり、いつか参加したいと考えている自分もいます。それでもなお、現在サポート側として活動することを選んだ背景としては、「誰かのやりたいに気づき、そのやりたいことを後押しできる人」でありたかったことにあります。自分自身同じ境遇にいて気持ちが分かるからこそ、人の「やりたい」を全力で応援したいなという思いが今の自分の原動力でもあります!
Q.どのようにインターンシップ生をサポートしているのか教えてください。
A.インターンシップ参加者の一人ひとりにアイセック・ジャパンの担当者をつけ、渡航前には、インターンシップ先決定のために海外とやりとりを行い、出国準備のサポートをしています。出国準備中、研修生本人が行う準備もありますが、万全を期すためにサポートと履行状況の確認をします。研修中には、研修生と密にコミュニケーションをとったり、また安全サポート株式会社と連携し、万が一のために24時間備えたりと、研修生が安全に、円滑に活動できるようにサポートしています。
Q.インターンシップ生のサポートのやりがいを教えてください。
A.一番やりがいを感じる部分は、インターンシップに参加する人が”変わる”瞬間を見届けられることです。インターンシップに参加することに迷い、「興味のある社会課題がよくわからない」、「大してできることがないと思う」などと悩みを打ち明けてくれた人がインターンシップに参加する勇気をもち、準備を進めていく中で段々と足りないと思うところを嘆くのではなく変えようと奮闘している姿を見ると、「あ、変わろうとしている」という瞬間をすごく間近で感じられます。インターンシップに参加することって決して簡単ではないと思います。それでも、異国の地でなんとか目の前の現状を変えようとするみんなの姿にたくさん刺激をもらうことができるし、些細なことでもみんなに起きた”変化”がみえたとき、ああ本当にこの経験を届けることができて良かったと思います。
アイセックは、現地での取り組みだけでなく、オンラインでの国際交流プログラムの運営・参加も行っている。“若者が異文化に触れ、世界と自分をより広く、深く知ることができる機会を創出したい。その思いを胸に、彼らは今後も海外インターンシップを届けていく。
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