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「やってみたい」に踏み出し続ける。製菓サークル「fika*」を立ち上げた…だけじゃない!?おいしい学生生活をホイップするコツ〈前編〉

2021.12.16
 😳mappa!
撮影:本田遥香さん
阪大生が「製菓サークル」に熱中しているらしい。なんでも、「製菓サークルつくりたい」という1人のつぶやきで、あっという間に10人の仲間が集まり、たった2年でメンバーは100人にまで膨らんだという。スゴ腕の仕掛人がいるのでは??? 大規模サークルとなった「fika*(フィーカ)」を立ち上げ、運営しているのは、福本有紗さん。他にも4つの部やサークルを掛け持ちするなど、かなりバイタリティに溢れている様子。でも話を聞いてみると、そこにあったのは意外なほど自然体の、いち阪大生の素顔でした。キャンパスライフを「おいしく」するコツ、お届けします。
製菓サークル「fika*」 Twitter Instagram

プロフィール

福本 有紗(ふくもとありさ)

大阪大学外国語学部フランス語専攻2年生。好きなことはお菓子づくり。アルバイト先はケーキ屋さん。製菓用語に使われるフランス語に興味を持って、外国語学部を志望したそう。

《目次》

▼ 前編

後編
  • ファーブルトンづくりに参加してみました!
  • みんなと一緒に、次世代の「fika*」へ、一歩ずつ。
  • ダンス、オーケストラ、写真、演劇、陶芸、ケーキ屋さん。興味あることは、まずやってみる。
  • ときどき休憩しながら、「やってみよう!」は続いていく。

1人のツイートから始まり、2年でメンバー100人にまで拡大!

— 阪大でじわじわと人気が高まっている製菓サークルがあると噂を聞いて、その代表の福本さんにお話伺います!早速ですが、「fika*」立ち上げまでの経緯を教えていただけますか?
福本さん:製菓サークルをつくりたいという構想は、入学前からありました。「料理とかお菓子つくれるサークルないかな。ないならつくりたいな」って友達としゃべりながら、ふわ〜っと考えてはいたんです。それで入学してみると、お菓子づくりも料理もサークル活動がなかったので、立ち上げに至りました。
— 「fika*」ってどんな意味なんですか?
福本さん:「Fika」はスウェーデンの文化で、談笑しながら甘いものと一緒にコーヒーを飲んで休憩する時間のことです。そんな落ち着く空間ができたらいいなと思ってつけました。高校生のときに『翻訳できない世界のことば』という本で見てから印象に残っていて、なにかに使いたいとはなんとなく思ってたんですよね。でも「製菓サークルfika」だと少しさみしい印象がして、アスタリスクをつけました。
— そもそもなぜ、サークルをつくりたいと思ったんですか?
福本さん:小学生くらいからお菓子づくりが好きで、家でつくっていたんです。サークルなら、一人ではつくれないようなお菓子をつくれたり、大人数だからこそできることもあったりするのかなと思いまして。それで、阪大に入学した年の5月に、私のツイッターアカウントでツイートしたんです。

福本さんのツイッターアカウントでのつぶやき。真夜中に、アツい想いを投稿していますね!
福本さん:そしたら、10人くらいから「一緒にやりたい」っていうダイレクトメールがきまして。
— 10人も!?みんな知り合いですか?
福本さん:みんな阪大生ですが、ほとんどが知らない人でした。
— このツイートからは、結構アツいというか、福本さんの強い想いが伝わってきます。入学して間もない頃に、ゼロからサークルを立ち上げるのって大変ではなかったですか?
福本さん:新しい団体を立ち上げるなんてみんな初めてなので刺激的で、何をするにも楽しかったです。活動場所も、部員の集め方も、運営方法も、何もないところからのスタートだったのでいろんな課題があったけど、「一つずつみんなで解決していきながら運営していきたいね」って立ち上げメンバーで話をすること自体が楽しかったですね。
— その後、どんなふうにサークルを運営していったんですか?
福本さん:1年目は、毎週月曜日のお昼に集まったりして、サークルの運営方針について結構な頻度で話し合いました。メンバーは30人くらいがいいかな、とか、いつでも誰でも入会できるのではなく「新歓に参加する」が入会の必要条件で、「fika*」の運営方法や雰囲気を分かってもらったうえで入会してもらおう、とか。
— それは今もですか?
福本さん:いえ、立ち上げ時が一番厳しくしていました。来たい人だけ来たらいいっていう感覚だと、モチベーションも上がらないしメンバー同士仲良くなりづらいかなと。そういった人ばっかり集まってしまったら、運営が大変だと思ったんです。
— 運営面のリスクをふまえたうえでの制限だったんですね。活動をスタートしてみていかがでしたか?
福本さん:はじめは、せっかく企画しても人が集まらないこともあって。参加者が5名以下になることも珍しくなかったです。参加しやすい雰囲気をつくるために、総会を開いたり、ユニバや季節のイベント、合宿などを企画したりと、横でつながって仲良くなるためにいろいろと計画してみたのですがやっぱり集まらず。このまま2年目の新歓で人数を増やしてうまくいくか、さらに厳しい状態になって潰れるか。自分含め運営のやる気が落ちているのも感じました。
— 最初からすべてが上手くいっていたわけではないんですね。ちなみに、今はいかがですか?
福本さん:今年から初めて制限なく、飛び込み参加でもオッケーにしてみたんです。今朝も1件「入りたいです」っていう連絡がきて、今は102名います。
— 100人超えたんですね!
福本さん:自分でもびっくりしています。予想もしていなかったですね。
— メンバーが増えた背景が気になります。
福本さん:そもそも「fika*」を立ち上げた時は「続いたらいいなあ」とは思っていたんですけど、具体的には考えていなかったですし、今まで以上に人数を増やして規模を大きくしたいという意思があったわけではありませんでした。入りたいと思ってくれている人にはできるだけ入ってもらいたいという気持ちもあり、新歓も3年目で運営が慣れてきたので広く募集したところ、予想よりもはるかに多い人数が集まったという感じです。

程よいゆるさと、程よい主体性。

— 初期は人数を増やしすぎると運営が大変だから、人数制限をされていましたよね。今はどんな工夫をされているんですか?
福本さん:これまでは、どちらかというと運営者と参加者の区分が明確にあって、仕事も一部の人に集中していたんです。でも今は、何かつくりたいものがある人や、やりたい人に企画・主催してもらう運営スタイルにしています。レシピや予算計画、当日の準備も主催者にお任せしています。
— 自由度が高いやり方ですよね。
福本さん:そうですね。企画する側も参加する側も、好きなときに好きなだけ活動できるから、そのゆるさが100人にまで増えた理由なのかなって。だから私もそうですけど、サークルを兼部している人もいますよ。
— やりたい人に主催してもらうスタイルにしてから、手応えはありましたか?
福本さん:企画によっては、サークル内で告知してから1時間もせずに満員になることもあります。主催したい人が多い時は、2日に1回とか、同じ日の昼と夜にやることもありますよ。9月・10月は月に7~8回開催してますね。
— すごい盛り上がってますね!ちなみにいつも、どんなものをつくっているんですか?
福本さん:その人、その時によっていろいろです。パンが得意な人がいたらパンをつくったり、私は家だとトライしづらいお菓子をつくりたいので凝ったレシピにしてみたり。お菓子も料理も、手軽につくれるものから本格的なものまであります。会によっては、一度に数種類まとめてつくることもあるんです。ひとりでつくるよりもはるかに少ない作業量と材料費でビュッフェをしたり何品目も食べられたりできるのは、「fika*」だけかなと思います。
ハロウィンパーティーを開いたときの様子。一人一品手作りの料理とハロウィンの飾りつけ、市販のお菓子を持って集まりました。
キッチンのある京都の宿に泊まった際の手づくりディナー。パスタは手打ちで粉から調理。ピザ窯のある宿に泊まってピザを焼く会を企画中。
サラダ、スープ、メイン、デザート班に分かれ、買い出しするところから料理までみんなで協力。
— いろんなジャンルのものをつくられているんですね。おいしそうだし、楽しそう!
福本さん:そうですね。義務感でやるんじゃなくて、楽しめるサークルにしたいです。とはいえ、人数や開催数が増えると、一つひとつの活動やメンバーとのコミュニケーションが見えづらくなるので、課題は常にあるんですけどね。
— メンバーが100人を超えて大規模なサークルになっても、円滑に楽しく運営をしていくために工夫されていることはありますか?
福本さん:できるかぎり、メンバーに仕事を渡すようにしています。運営って、放っておいたら基本的に私しか仕事してないって感じになっちゃうので。自分でできることは私がやればいいやって思ったりするんですけど、そんなことでも、誰かにやってもらう。仕事が重なって困っていることも話す。そうやってみんなが言いたいことを何でも遠慮なく言い合える場であればいいなと思っています。サークル以外でも遊びに行ったりして、気軽にしゃべれるくらいに仲良くなります。

コロナ禍で活動がストップ。
「やってみたい」「新しいことをやりたい」気持ちが、背中を押した。

— ちなみに、「活動がしんどいな」とか「辞めたいな」と思ったことはありませんでしたか?
福本さん:ありました。コロナ禍で半年くらい、全く活動できなかった時がありまして。いつもLINEグループでメンバーと連絡をとりあっているんですけど、完全にLINEのやりとりが止まったり、部費の連絡をしても誰からも返事がなかったり、個人LINEを送ったら「辞めます」っていう連絡がいろんな人から1時間ごとにきたり。私の力不足なのかなと、落ち込んだこともありました。
— それでも「fika*」を閉じる考えはなかったんですね。コロナ禍で苦しい場面があっても、辞めずに乗り越えてこられた背景には、福本さんのどんなお気持ちがあったのでしょうか。
福本さん:自分が立ち上げたサークルで、名付け親で、愛着がありますし。部員のみんなも慕ってくれて、入学前からこのサークル絶対入ろうって決めてたとか、このサークルが好きって言ってくれる人もいたんです。それが嬉しくて、いつも原動力になってました。それに、「fika*」でやりたいことがあるし、新しいことにもチャレンジしてみたかったから、辞めることはなかったですね。
— ちなみに、どんなことをやってみたいと考えているんですか?
福本さん:難易度の高いお菓子づくりや、誰かとコラボレーションした企画とかもやってみたいです。例えば、「石橋商店街」に「タローパン」っていうパン屋さんがあるんですけど、お菓子教室を開く企画を立てていました。緊急事態宣言が続いて実現できていないのですが、やってみたいです。あとはキャベツの芯まで使うような、廃棄率が少ない料理のレシピを開発して食堂に提案してみるとか。企業や大学と連携出来たら楽しいだろうなとか。そんなことを考えています。
>後編へ続く
 

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