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「やってみたい」に踏み出し続ける。製菓サークル「fika*」を立ち上げた…だけじゃない!?おいしい学生生活をホイップするコツ〈後編〉

2021.12.17
 😳mappa!
「製菓サークルつくりたい」というつぶやきから、「fika*(フィーカ)」を立ち上げた福本有紗さん。前編に続いて後編では、100名を超える大規模サークルとなったfika*の実際の活動の様子や、ダンス・オーケストラ・演劇など、活動の幅を広げ続ける福本さんの考え方についてお伺いします。
《目次》

前編
  • 1人のツイートから始まり、2年でメンバー100人にまで拡大!
  • 程よいゆるさと、程よい主体性。
  • コロナ禍で活動がストップ。 「やってみたい」「新しいことをやりたい」気持ちが、背中を押した。

▼ 後編

ファーブルトンづくりに参加してみました!

— ちょうど今日は日曜日で、お菓子づくりを開催すると聞いたのですが…一緒に参加してみてもいいですか?
福本さん:もちろんです!今日は午後から千里公民館で「ファーブルトン」というもっちりとしたプリンケーキをつくるんです。
会場では、メンバーの皆さんがグループに分かれて仕込み中!
粉をふるう人と、混ぜる人。真剣な表情ですね!
「次はこうするんだよね?」ってレシピを確認しながら。
福本さんが実践してアドバイスする姿も。
— なんとなく「製菓サークル」って女性のイメージがあったんですが、男女関係なさそうですね。
福本さん:そうですね。比率は半々くらいで、料理好きな男性メンバーもいますよ。
プリンっぽくなってきました!
型に流し込み、フルーツをトッピングして…
オーブンへGO!
— ファーブルトンを焼いている間に、メンバーの方へインタビューしたいと思います。皆さんが「fika*」に参加された理由を教えていただけますか?
写真左から、基礎工学部電子物理科学科2年 堀越真さん。基礎工学部化学応用科学科1年 長村柚希さん。文学部人文学科2年 宿利颯人さん
堀越さん:大学に入学したら、新しい趣味をつくろうと思っていたんです。僕は甘いものが好きで、「つくるのも楽しそう!」と思って参加しました。
長村さん:春から一人暮らしを始めたんですけど、もともと料理をしたことがなかったので、できるようになりたいと思ってサークルに入りました。それに、食べるのは好きなので!
宿利さん:僕は、ハンバーグが大好きなんです。料理はあんまりしないんですけど、味にはうるさくて(笑)。「fika*」は「製菓サークル」って言ってるんですけど、おかず系の料理もつくるので、「自分好みのおいしいハンバーグがつくれたら素敵やん」と思って参加しました。
— 参加して良かったと思うエピソードがあれば、教えていただけますか?
宿利さん:9月に、ハンバーグづくりの会を主催したんですよ。卵を使わないハンバーグをつくりたくて、「つなぎ」がなくてもお肉と馴染むように玉ねぎをしっかり炒めてつくったんですけど、おいしかったです!一人で料理するより、誰かと一緒にやるほうが友達もできて楽しいですね。
堀越さん:今日の会、実は僕が主催なんです。主催は初めてなんですけど、インスタでおいしそうなプリンケーキを見つけたので、せっかくならみんなでつくりたいなと思って企画しました。一度家でつくって予習して、今日のための材料を準備して…。予習では上手くいったから今日も大丈夫だろうと思ったんですけど、ちょっとしたトラブルがありました。
— あれま!何があったんですか?
堀越さん:生地を型に流し込む時に、型から漏れてしまったグループがあって。自分でつくってみた時は金属製の型だったので問題なかったんですけど、今日の型は紙製なのでどうしようかなって。でも、生地を少し温めてから型に流し込むと問題なくいけたので、多分大丈夫だと思います。
— 無事完成するといいですね!最後に、皆さんが思う「fika*」の魅力って何ですか?
長村さん:こうやってつくりながら、いろんな人としゃべれるのが楽しいですし、他学部の友達ができるのがいいなって思います。
宿利さん:「食」って、みんな関わりがあるものじゃないですか。学年とか専門性を超えてつながりやすいと思うんですよね。だから、部員数がたくさん増えて、人気なサークルになったのかなとも思っています。
— 皆さんありがとうございました!そうしている間に、プリンケーキが焼き上がったみたですね!
しっとりキツネ色に焼き上がったプリンケーキ。ふんわり甘い香りが、調理室に漂っています。
カットした姿もかわいい!
— 皆さん、お菓子づくりも楽しそうですけど、何よりもみんなでおしゃべりしながら一緒に過ごしているのが楽しそうですね
福本さん:そうですね。「fika*」を通して出会って、仲良くなれた人もいると思います。自分が立ち上げた団体で、自分の知らないところでメンバー同士が仲良くしているのを知ると、嬉しい気持ちになりますね。
福本さんも楽しそう!
完成を記念して、みんなで記念撮影!

みんなと一緒に、次世代の「fika*」へ、一歩ずつ。

— 「fika*」のこれからの運営はどうなっていくのでしょうか?
福本さん:今、引継ぎをしているところです。私が「やりたい」っていう気持ちで立ち上げた団体なので、それを引き継いでほしいっていうのもどうなんだろう?って思っていたんですけど…。後輩が活動を継いでくれていて、仕組みづくりをがんばってくれています。今も後輩のために、立ち上げメンバーが何千字ものマニュアルをつくってくれているんです。「感謝してる」っていうのもおこがましい感じなんですけどね。
— 何千字も!?軽い気持ちでは、そこまでできないかも…。
福本さん:引き継ぎが上手くいっていないサークルもあるみたいなんです。ざっくりした内容で引き継ぎすると、なかなか続かないみたいで。だから、しっかりと丁寧にしないといけないなと思って、今も数回に分けて引き継ぎ会をしています。
— 入学して間もない頃にサークルを立ち上げて、100人を超える規模にまで大きく成長させて、すごく活動に勢いがあると思ったんですけど、福本さんはみんなをぐいぐい引っ張っていく感じではないですよね。でもやりたいことや芯はしっかりとあって、みんなでやり方を試行錯誤しながら、こつこつと活動を積み重ねてこられたという印象を受けました。
福本さん:ずっとリーダーには向いてないなと思いながら、あまり考えすぎずにやってきた感じです。だから本当に、みんなの助けがあって今の「fika*」があるんですよね。引き継ぎをして「fika*」が手を離れるのは、ちょっとほっとします。でも…結構さみしいですね。
調理面でも、福本さんはみんなから頼りにされているのが伝わってきます。これからの「fika*」が、どんなサークルになっていくのか楽しみですね。

ダンス、オーケストラ、写真、演劇、陶芸、ケーキ屋さん。
興味あることは、まずやってみる。

— ところで福本さんは「fika*」だけでなく、いろんな活動に参加されているそうですね。
福本さん:そうですね。ダンス、オーケストラ、写真、演劇、陶芸、アルバイト。学内外でいろいろやっています。
— なぜ、そんなにも活動を広げているんですか?
福本さん:「fika*」がメインではあるんですけど、今は同時にいろんなことをやってみて、自分が本当に続けたいと思うものや好きなものの濃度をあげていけたらなと思っています。
ダンスサークル「Syny.jpd」では、アイドルのコピーダンスに挑戦。
劇団「㐧2劇場」に所属し、役に入り込む福本さん。
8月に行われた公演では俳優として舞台に!
大学生写真サークル「curbon写真部」では、カメラ好きの仲間たちと一緒にカメラスキルを磨いたり。
「大阪大学陶芸部」で、たまに器づくりも。
— すごい…めっちゃ充実してますね。ちなみにアルバイトは何されているんですか?
福本さん:高槻にあるケーキ屋さんで、ケーキをつくっています。今年のクリスマスに自分のオリジナルケーキを出せることになっていて、今はケーキの構成を考えています。それからウイスキーがたくさんそろっているオーセンティックバーでもバイトを始めました。まだできるかわかりませんが、そこでお酒に合うお菓子を出すのはどうかと提案されて、いま構想を考えています。
福本さんが考えているケーキのメモたち。本格的…!
今年のクリスマスケーキは、ホットワインをイメージして構想しているそう。
ケーキそのものはもちろん、撮り方やセットなど撮影への細やかなこだわりも感じられます。
— パティシエさんじゃないですか。
福本さん:といっても、専門知識があるわけではないので全然うまくいかなくて。今回のクリスマスケーキは、オーナーシェフと一緒に表現したい味や全体のまとまり、生産性を考えて各パーツの材料やつくり方を何度も細かく調整しながらつくっています。少しずつ勉強中です!
— 福本さんはやっていることの幅が広いですし、そのうえで「fika*」の代表も…どうやってバランスとっているんですか?
福本さん:いろいろやってはいるんですけど、その時々によって何に重点を置いているかは変わるんですよ。例えば、オーケストラや劇団は、本番直前はそれ一本に集中するんですけど、他の活動はほとんどお休みしていますし。何か一つの活動にずっと集中するっていうよりは、興味あることはとりあえずやってみるのと、どの活動も程よい距離感を持ってやっています。「やりたいな」と思う時にはやって、「しんどいな」と思ったら離れる感じです。
— ずっと忙しく動き回るというよりも、ちゃんと休むことも意識されているんですね。
福本さん:そうですね。私は時間にゆとりがあると、かえって何もできないタイプなので、ある程度アクティブなほうがいいのかなって。でも、何か一つのことに集中している人を見ると、羨ましいなって思います。私は一つに決められないので…。
— でもそれだけ、いろんなことに興味を持てるのも素敵だと思います。

ときどき休憩しながら、「やってみよう!」は続いていく。

福本さん:あまり深く考えたことはなかったんですけど、何かをつくることや、表現することが好きなのかもしれないなって思いました。
— そうですね、製菓サークルも、ダンスも、陶芸も、写真も。「つくる」とか「表現」という点では共通していますね。これからやってみたいなと思っていることはありますか?
福本さん:お菓子と写真を、ちゃんとやりたいなと思っています。自分らしいお菓子を研究して、ウェブショップを立ち上げて販売できたらいいなって。こういう風にしたいなというのは、なんとなく考えているんですけど。
— 「つくる」だけでなく「届ける」ところまでやろうとしているんですね。
福本さん:そうですね、なのでもうちょっと製菓の専門的な技術や知識がほしいなって思います。できれば来年はフランスに留学して、製菓の勉強をしてみたくて。留学中に専門学校で資格を取ってから、一か月ホテルパティシエのインターンに参加できたらと思っています。
バレンタインの焼き菓子の詰め合わせ。
— パティシエを目指しているんですか?
福本さん:パティシエになりたいっていうわけではなく、いろいろ広くやりたいなって。自分でお菓子をつくるのも好きなんですけど、それよりもレシピを考えることとか、商品企画に興味があります。あと、フードコーディネーターとか。長期的な目標としては、いつかカフェを開いてみたいというのもあります。器や雑貨、照明や音楽にもこだわって、細部まで自分の好きなものを詰め込んだ空間をつくりたくて。こだわりのケーキを出して、それぞれのケーキとマリアージュさせたドリンクも提供するとか。完全に趣味のお店を開きたいです。
— 可能性がどんどん広がっていきますね!今回、福本さんに取材させていただいて、自分のやりたいことをやってみたり、次々に形にしていったりと、想いを実現させていく行動力があるなと思いました。阪大生の皆さんに、大学生活がより充実するようなアドバイスをお願いできますか?
福本さん:私は、私がやりたいことをやって大学生活を楽しんでいるだけなので、別にアドバイスというのはないですね…。その場で「楽しそう!」って思ったことをやっていたら、ここまで来たっていう感じなので。ただ、「やってみたい」と思った時の「行動力」には自信があるというか、大事にしていきたいなと思っています。興味を持ったことはまずやってみる姿勢を持ちつつ、疲れた時はちょっと休んで。結構、手を抜けるところは抜くんですよ(笑)。自分が好きなことは、気持ち良く好きでいられるように、心地いいバランスを持ち続けていたいですね。

製菓サークル「fika*」

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