
きっと誰もが、人生で一度は食べたことがある「たまごサンド」。阪大には、たまごサンドを愛してやまない「たま男」がいるんです!その人の名は、小橋敬太さん。たまごサンドをテーマにしたブログを書いている阪大院生です。なんと今回、ブログでも素顔を明かしていない「たま男」への取材に成功しました!なぜたまごサンド?ブログを始めた理由は?阪大に生きる「たま男」のリアルな姿にせまります。
プロフィール
小橋 敬太(こはし けいた)2014年に大阪大学基礎工学部に入学し、現在は同研究科・機能創成専攻のM2。「日本卵サンド協会会長(自称)たま男」を名乗り、学部生のときにたまごサンドの話題を中心としたブログ『大阪のたまごサンド知らんの???』を開設する。フットワークが非常に軽く、おいしいたまごサンドの噂を聞けば、ロードバイクに乗ってピューーンとどこへでも出かけていく。
卵には、無限の可能性がある。僕も、そんな人になりたいんです。
— こんにちは!あなたが、たまごサンドを愛してやまない「たま男」こと、小橋さんですね。お会いできるのを楽しみにしていました!今日はよろしくお願いいたします。
そう言われると恥ずかしいですね(笑)。よろしくお願いします!

— では早速お伺いしたいんですが、たまごサンドが好きになったきっかけは何ですか?
好きになった直接的なきっかけではないんですが、たまごサンドが僕にとって身近な存在になったのは、高校3年生の受験シーズンのときですね。
— 今から6年ほど前ですね?
はい。今思えば、スーパーに買いに行けばいいじゃんって思うんですが、毎日のように自分でたまごサンドをつくっていたんです。毎晩寝る前に、たまごサンドの中身を仕込んでおいて、翌朝に食パンに挟んで学校へ持って行きました。
— 毎日!?受験で忙しい時期なのに、すごいですね。
それまでは、たまごサンドなんてつくったことなかったんですよ。でも、受験が始まる2月あたりから、急につくるようになりまして(笑)。


— なぜ急に…(笑)。
なんででしょうね?自分のなかでは、そのときからたまごサンドが好きだったからだと思い込んでいるんですが、実際は受験勉強のリフレッシュとして料理をしたかったからなのかもしれません。
— 料理が好きなんですか?
好きですよ!スイーツもつくりますし。
— スペック高っ!

いやいや(笑)。初めてスイーツをつくったのも、高校時代でしたね。当時はハンドボール部に所属していて、その日は部活が休みだったんです。それでなぜか、めっちゃケーキが食べたくなりまして(笑)。
— 甘いものが好きなんですか?
大好きなんですよ〜。これも、今思えば買いに行けばいいじゃんって思うんですが、自宅にある材料でスポンジからケーキをつくろうと思ったんです。で、できたのが「お芋のモンブラン」。
— おしゃれかよ…!すみません、ついツッコんでしまいました(笑)。
(笑)。しかも初めてのわりには、おいしくて!スイーツもたまごサンドも、今もつくり続けていますよ。何なら、今朝もつくって食べてきました。たまに、自分でつくったたまごサンドをブログにアップしています。
— 今朝も!?
朝、筋トレをして、たんぱく質がほしいな〜と思って冷蔵庫を開けたら卵があったので(笑)。卵は、僕にとって「完全食」ですからね。たまごサンドさえあれば、人間は生きていけるんじゃないかって思ってます(笑)。

— 卵への愛が深いというか、必要不可欠な存在なんですね!
そもそも、僕は卵そのものがめっちゃ好きなんです。
— どんなところが?
味というよりは、卵の存在ですかねえ。卵って、どんな料理にも入ってるじゃないですか。料理の主役にもなるし、引き立て役にもなる。どこにでも、卵がいる。卵は、何にでもなれる。まさに、オールラウンダー。僕もそんな人になりたいなって(笑)。
自分の感じたことを、カタチにしてみたい。無理なく続けられるのが、たまごサンドのブログだった。
— 卵への憧れがあるんですね(笑)。ブログを書き始めたのが2017年12月とのことですが、ブログを始めた理由は何ですか?
発信することに興味があって、学部4回生のときに書き始めました。いつかブログを書いてみたいなあって思っていたんです。
— なぜ、たまごサンドをテーマにしたんですか?
ひとつ目の理由は、本格的にたまごサンドにハマってしまったからですね。ブログにも書いたんですが、2015年2月25日、僕が2回生になる前の春休みに、衝撃的においしいたまごサンドに出会ってしまったんです。
— どんなたまごサンドだったんですか?
まず見た目のインパクトに圧倒されました。当時は、ゆで卵をつぶしてマヨネーズと和えたタイプのたまごサンドが主流だったんですが、「喫茶ラック」さんでは厚焼き玉子をサンドした珍しいものだったんです。「なにこれ!?」ってびっくりしちゃって。今でこそ、厚焼き玉子サンドは一般的ですけど、当時は衝撃的でしたね。
— 時代の先をゆくたまごサンドだったわけですね。
はい。それまで、僕がつくってきたたまごサンドも、ゆで卵とマヨネーズのスタイルだったから、たまごサンドの概念を覆されました。また、味も本当においしくて。


— そこから、本格的にたまごサンドが好きになったんですね。
そう。ブログを書き始めるまでの期間に、いろんな喫茶店やパン屋さんに足を運んでたまごサンドを食べて、感想をメモしました。

たまごサンドをブログのテーマにしたふたつ目の理由は、無理なく楽しみながら書き続けられるから。ブログって継続することが壁だと思うんです。1記事書くくらいなら、誰でもできる。でも、継続が難しい。たまごサンドなら、自分の生活に溶け込んでるものだから、無理なく発信し続けられるだろうなって。そしてオープンしたのが『大阪のたまごサンド知らんの???』っていうブログです。
— わたしもブログを読ませていただいたんですが、自宅から阪大まで往復100kmの道のりをロードバイクで走りながら、パン屋さんめぐりをされてますよね?
はい(笑)。
— これ、今までにどれくらいのたまごサンドを食べて、レポートしてきたんですか(笑)。
数え切れない。もう、わかんないですね…(笑)。
— ブログを書いてみたいって思う人はたくさんいると思うんですが、実際にサイトを開設して書き続けていること、自分の足でお店をめぐっていること。その行動力がすごいと思いました。
そんな大それたことではないですよ。自分の好きなものや、やってきたことをカタチにしてみたいと思っただけ。いろんな喫茶店やパン屋さんに行ってるし、「せっかくならブログに残してみようかな♪」くらいの気持ちです(笑)。
— 記事も、どんどん読み進めちゃうんですよ。写真もきれいで、ユーモアたっぷりの楽しい文章で。個人的には、「おいしいーーーーーーい!たまこちゃん、結婚してください!」とか「うまーーーーーーーーいっお付き合い!近畿大阪銀行!」とかがツボでした。京都銀行ちゃうんかい!ってツッコミましたよ(笑)。また食レポもお上手で、読んでいてたまごサンドが食べたくなりました。
そう思ってもらえてうれしいです!世の中にある記事って、きちんと整った文章で書かれているものが多いと思うんです。しっかりつくり込んでいるというか…。だから僕はあえて、もっと肩の力を抜いたブログを目指しました。そうすることで、他のブログと差別化できて、オンリーワンの存在になれるなって。

— かるい気持ちで、さくさく読めるけど、きちんとたまごサンドやお店の魅力が伝わってくる背景には、そんな想いが込められていたんですね。
実は僕、国語がとても苦手で、文章を考えるのも得意じゃないんです。
— え!?ブロガーだから、てっきり文章を書くのが好きなのかと思っていました。
いやいや。文体も整っていないし、いい文章とは言えないなあって思っています。プロのライターにはなれないけど、いつも心がけているのは、自分の心から湧き上がってくる想いやことばをストレートに書き出すこと。感じたことをそのままアウトプットしているから、結構さくさく書けちゃうんです。
— なんか意外でした。あと気になっていたのが、「日本卵サンド協会会長」をされているということなんですが、これはどういうことですか?
自分で言うのも恥ずかしいんですが、「日本卵サンド協会」は僕が勝手につくった協会で、会長もあくまで自称(笑)。
— 自分で協会つくっちゃったんですね(笑)。
はい。ブログに何かしらのインパクトがほしいなと思ったのと、会長を名乗ることで、「日本卵サンド協会の会長が書いているブログだから、ここに書いてあるたまごサンドは間違いなくおいしいんだろう」って、読者のみなさんに納得してもらえると思いました。
自分は凡人。そう認めることが、ワンランク上に行ける一歩になる。
— たまごサンドを好きになって、ブログを書くようになって、今までにたまごサンドへの愛が冷めたり、ブログに飽きたりしたことはないですか?
ないですね。
— それがすごいですよね。ちゃんと継続できてる。
僕は凝り性で、負けず嫌いっていうところはあると思うんですよね。「3ヶ月続くブログは70%」というデータがあるんですが、それは必ず超えてやろうって。そんな思いで書き続けていたら、いつのまにかブログが日常の一部になっていました。
— みんなと一緒では終わりたくない。そんな気持ちが小橋さんのモチベーションになっているんでしょうか?
そうかもしれないですね。みんな、自分は特別だって思いたいと思うんです。「みんなにはない才能があるぞ」とかね。
— たしかに、あるかもしれません。
でも僕が思うのは、みんな結局は凡人なんですよ。例えば、数学の勉強でぶつかる壁も、だいたいみんな一緒。自分が困ってることは、たいていみんなも困ってること。大事なのは、一緒で終わるか、その壁を超えられるか。超えることで、ワンランク上の自分になれるし、その先の世界に行けるじゃないですか。まだ見たこともない景色に出会えることを想像すると、乗り越えるしかないですよね(笑)。

壁は、乗り越えるだけじゃない。過程をおもしろがってみる。
— でも、壁を超えるって簡単なことではないと思うんです。小橋さんは、いつもどうやって前に進んでいるんですか?
まずは、自分が凡人であることを認めること。みんなと一緒なんだと受け入れることが、先に進むための第一歩になると思います。みんなと同じだと気づいたということは、みんなとは違うことができるチャンスですから。
— なるほど、認める・受け入れることも一歩につながるんですね。
じゃあどうやって、壁を超えていくかという話ですが、壁は超えるだけが方法ではないと思うんです。横周りしてもいいし、くぐり抜けてもいい。しんどいことを真正面から向き合うと、さすがに僕も打ちのめされちゃうんで(笑)。しんどいなかにも楽しい面を見つけて、壁に向き合ってることそのものをおもしろがれるといいですよね。
— 横周りする、くぐり抜ける。方法は何だっていいんですね。
僕は試行錯誤が好きなタイプなので、いろんな方法を考えてみて、過程すらも楽しむようにしています。1回で壁を超えるのがいちばん効率的だとは思うんですが、僕は非効率な道のほうが好きですかね(笑)。
— お話を聞いてると、小橋さんってものすごくストイックで努力家だなって。かっこいいなと思う反面、自分はそこまで頑張れないかもって思っちゃいました。
いやいや!こう見えて、めっちゃ抜けてるところがあるんですよ。大学受験のとき、答案用紙に名前を書き忘れて呼び出されたこともあるし。センター試験で地理Bを解かないといけないのに、間違えて地理Aを解いてしまってゼロ点だったり。こんなもんですよ(笑)。

— それは…(笑)
だから、僕は凡人なんですよ。あとは、この先へ進むぞって、一歩を踏み出せばいいんです。
「やるか・やらないか」を悩む必要はない。やって失敗したら、悩めばいい。
— 一歩を踏み出したいけど、踏み出せない。そんな人たちにアドバイスするとしたら、どんなことを伝えますか?
もし、「やるか・やらないか」で悩んでいるとしたら、それは必要のない悩みだと思います。まずは「やる」。やってみて失敗したら、悩めばいいと思います。失敗しても困るのは自分だけで、周りに迷惑をかけることはそんなにないですから、まずは困ってみろよと言いたいです。困るというのは、前に進めるきっかけになりますから。

— 小橋さんみたいに、好きなものや、のめり込めるものがないという人は?
そういう人は、新しい世界に出会うきっかけが足りていないのかもしれないですね。自分はすごいやつじゃないんだということを受け入れた状態で、誰かのマネをしてみたり、大きな挑戦ではなくても、気軽に始められることからトライしてみたり。何も考えずに、いろんなことをやってみればいいと思います。
— 自ら「きっかけ」をつくっていくということですね。
んー。なんかメッセージ浅いなあ(笑)。もっとカッコイイこと言いたいんですけどね(笑)。
— いやいや!読者のみなさんにもきっと響くと思いますよ!
実は僕も、学部時代を振り返ると「もったいないなあ」って思うんですよね。
— どういうことですか??
正直に言うと、僕が勉強したかったのは「工学」ではなくて「経済」だったんですよ。
— え!?でも、基礎工学部に入学されたんですよね??
はい。さっきもお話したように僕は国語がめっちゃ苦手だし、数学が好きだったということもあって基礎工学部を選びました。学部時代は受け身の姿勢で授業を「こなす」感じだったんです。個人的に経済学も勉強していましたが、いつどこで役立つのか分からないから、そこまで深く学ぶこともなく。でも大学院に進学して、自分の研究テーマも広く見れば経済に応用できるってことを知ってワクワクしたんです。やりたかった経済学、好きだった数学・工学、これらは学部では別の分野だけど本質的には一緒。これまで取り組んできたことや、今やっていることはいつか必ず役に立つし、突き詰めて考えてみれば、すべて「やりたいこと」に必ずつながっているということを実感しました。実際、学部の授業も自分でやってた経済の勉強も、はたまた筋トレや料理、ブログとかも、間違いなく今の研究に活きているんです。
— どんなことも無駄にはならないということを、身をもって感じられたんですね。
そう。でも、それに気づくまでに時間がかかってしまったなあって(笑)。「すべてのことは、どこかでつながる」、ってことに学部の頃から気づいていれば、今の自分よりもっと先に進めていたかもしれない。そう思うと、ちょっと「もったいない」って感じちゃいますね。
— ちなみに、これから小橋さん自身が挑戦していきたいことってありますか?
そうですね〜。まずはブログをリニューアルしたいですね。ありがたいことに、読者の方からの反響も増えてきたので、デザインを一新したいです。それと、日本卵サンド協会の公式ホームページをつくって、ブログと連携しながら発信していくと、もっとおもしろいことができるんじゃないかと考えています。
— たま男としての活動は、これからも続いていくんですね!
もちろんです。来春から東京で働くので、ロードバイクに乗ってこれまでに行ったことのないエリアを開拓しつつ、おいしいたまごサンドを発掘していきたいです。それと、調理師免許をとろうかな〜って。
— 調理師免許!すごいなあ。できることの幅がどんどん広がっていきそうですね。これからも投稿を楽しみにしています。ありがとうございました!
「阪大生からの美味しいたまごサンドの情報、お待ちしています」by たま男
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